今年の岩千鳥
今年もイワチドリの時期になりました。育てている半分の品種が咲いてきたので、いったん紹介しようと思います。最初は Dream Seed さんの大輪紅斑紋花で昨年も紹介した岩千鳥です。大麒麟や大虹の系統実生品で、横に広がった唇弁に不規則な模様が入って見応えがありますね。
今年は二球に増殖してくれて、しっかりした芸が発揮されているように思います。派手な大輪花が好きな方には非常に惹かれる一品かと思います。
IY289 もだいぶ増えて賑やかになりました。先に紹介した Dream Seed さんの品種に比べると、おとなしいというかより原始的な感じがすると思います。普通の岩千鳥がどのように交配育種されてきたのか、その途中の姿を残しているともいえますので、この岩千鳥も個人的に好きな一品です。
Dream Seed さんの「天照(あまてらす)」です。昨年は作落ちさせてしまって咲かなかったのですが、今年はなんとかそこそこのお花が咲いてくれました。純白にベタ染めの紅が入り、白覆輪と表現したくなる見事な品種で、兜の上端にも紅が少し入ります。
斑紋花の場合、兜(側花弁)にも模様が入る場合が多いのですが、天照の場合はここもほぼ純白になるため非常にすっきりした印象があります。迫力のあるベタ染めでありながら、唇弁以外が純白となることで高貴な印象となる。まさしく名前に恥じない品種と思います。
これも Dream Seed さんの岩千鳥で、ピンク花と呼ばれる紅色の斑紋がサーモンピンクに変化した品種群の一つです。P1大仁王初玄HS と説明書きのあったもので、交配元になった親の情報です。いくつかの球根が入った未選別品の中で咲いたもので、喉元からぼかし状に広がる優しいピンクがなかなか良い表現をしていると思いました。
唇弁も張り出し、大きさとも十分で、このままピンクの発色が強くなってくれたらかなり良い品種になるんじゃないかと思います。しかし、ピンク花は系統的に育てにくいものが多いようで、この個体もかなり気を遣いながら育てています。
「扇満月(おうぎまんげつ)」という古典品種です。喉元が白く抜ける濃いピンク色の円弁花で、標準花的な要素を残しつつ、豪華さも感じられる品種かと思います。オオイワチドリと似た雰囲気ですが、純粋なイワチドリなので一球あたりの花数は多くありません。オオイワチドリだと大球になると7、8輪付けることもあるのですが、イワチドリの場合は4輪付くことはまれで、1~3輪がほとんどです。
エノモトチドリの「三楽」はこの扇満月を片親に育成されたそうなので、育種の歴史から見ても重要な品種の一つです。
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