地味なラン

このブログのタイトルにもなっている「地味ラン」とは、もともとは花が地味という意味で付けたのですが、最近になって葉姿が地味なランに興味が出てきました。写真のランがその一つで、オエセオクラデス・モノフィラというモーリシャス島原産の種類です。
ややピンクを帯びた茶褐色の地色に、暗緑色の不規則な模様が入る葉を付けています。一見すると枯れ葉のような見た目ですが、これで正常に成長中です。厚味のある葉で鈍い艶があるせいか、まるでプラスチックで出来ているように感じます。触った感じも硬くて不思議な感じ。

主脈に沿うように抹茶のような色の模様があります。側脈にも薄く滲むような緑の模様が入るので、本当に枯れ葉と言われればそのまま信じてしまいそうです。自生地では林床の落ち葉の中から葉だけを覗かせるように生えているらしく、一種の擬態と考えられているそうです。
Oeceoclades属のランは、主にマダガスカル島に分布していて、周辺の島や北アフリカにも分布が知られています。20種類くらいの原種が知られていましたが、APG分類で Eulophia属(イモネヤガラ属)に再編されたので、日本だと沖縄で見られるエダウチヤガラやイモネヤガラという腐生蘭と同属になりました。園芸的にはまだオエセオクラデスと呼ばれることが多いです。

ロゼオバリエガータという種類です。モノフィラよりもさらに地味というか、生きている感じがしない褐色で構成された葉を付けますが、名前の通りに出芽の頃はバラ色の模様を見せてくれるようです。こんな葉が小石混じりの茶系の地面に展開していても、おそらく自分なら見付けられないくらいに保護色です。
多肉植物として扱われることも多いそうなので、リトープスやコノフィツムが好きな人には魅力的な色合いなのかもしれません。写真の株はまだ小さいですが、花が咲くくらいに生長するともっと大型の葉になるようで楽しみです。

葉の縁がゆるく波打つのが特徴で、主脈も深く溝のようになっています。表面にはラメのように細かな凹凸があって、光の当て方でキラキラして見えるのはジュエルオーキッドと呼ばれるこの仲間の特徴でもあります。色合いは好き好きかもしれませんが、自分は少し苦手な感じで爬虫類や両生類の皮膚のように見えてしまいます。そこがいいんだろう? って怒られそうですね。

マキュラータ種です。かなり大きな葉をつける種類なので、まだまだ小苗と言った感じでしょうか。左の新芽が伸びている途中の状態で、折りたたまれた葉が先の方から開いていく様子がよく分かると思います。薄い緑色の地色に濃い緑で不規則な模様が入ります。パフィオペディルムの葉に似ていると思いました。

主脈はしっかり濃い緑で入りますが、モノフィラ同様あまり深くはなりません。表面は少し艶がありますがロゼオバリエガータのようなラメ感はありません。色合いは異なりますがモノフィラと似た感じの葉質と思います。この違いが生育環境から来るものなのか、系統が近い種類なのかは不勉強で分かりませんが、同属の中でも傾向があるのは面白いと感じます。

古くから知られている種で、「蛇皮蘭」の別名があります。名前通りに蛇革の模様のような、なんとも異様な独特の模様をしていて、この属を代表する種として人気があるようです。写真の株は割と細葉の見た目ですが、マキュラータのような幅の広い葉先の丸い系統があるそうで、機会があればその株も入手したいと思います。

主脈はあまり目立たず、側脈のように見えるすじ模様が両側に細かく入ります。灰白色の地色にこげ茶の雲のような不規則な模様ととても植物の葉についての説明に思えませんw ただ、不思議と爬虫類っぽい感じは受けなくて、変わった面白い模様の何か、という印象です。人によるのだと思いますので、この模様を蛇に例えたのは先人の知恵というか、当たり前の感性なのだと思います。
地味なランという事で、オエセオクラデスを四種類、紹介してみました。他にも面白い種類や sp. として輸入されてくる種類もあるので、いつか育ててみたいと思います。
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