イワチドリの登録品種
GWの頃からイワチドリやエノモトチドリの開花が始まりました。スタートダッシュが早かった春が、いつもの季節感に戻ってきた気がします。でも、暑くなるのは早そうですね。
これは岩千鳥の「剣(つるぎ)」という品種で、日本イワチドリ愛好会登録No.287です。日本イワチドリ愛好会は、関西ウチョウラン保存会とともに、昔からイワチドリの品種を登録・保存管理していた団体です。解散してしまったのは残念です。
標準的な岩千鳥の花形で、喉元の二条点はト点と呼ばれるつながった棒状になります。遺伝的に面白い性質のようで、様々な品種の交配親になっているようです。
まだ本芸ではないのでト点の出方もおとなしい感じです。一年作り込んで来年の開花はしっかりした株に育てたいところです。増えやすい性質のようで良く分球します。
こちらは同じく岩千鳥の「大仁王(だいにおう)」という品種です。登録No.288で、和歌山県北山村で発見された野性品種です。羽蝶蘭や岩千鳥を育てる方なら、仁王系という表現はお分かりになるでしょうが、写真の花は全く芸が出せていません。もう一株の方が少しはマシな? 花になるかもしれませんが、その時はまた紹介したいと思います。
四条点になる品種のようですね。唇弁の縁に少し仁王っぽさが出ていますが、これだとただのイワチドリです。
最後にもう一品種、「大紅輪(だいこうりん)」という品種です。こちらもなんとか一輪咲いてくれただけの、全く力が足りていない状態ですが、それでも芸としてはなかなか良く表現されていると思います。本作であれば3~5輪は付けてくれるようですから、作上がりに期待したいです。この品種は未登録品種です。
なで肩で縦に長い花形は、最近の岩千鳥の品種から見れば物足りなさを感じるかもしれません。わたしはこのくらいの花形のほうが「らしく」て好ましいと感じます。羽蝶蘭と見た目が変わらないような、大輪の品種も多数出ていますが、きれいなんだけど……って思ってしまいます。
羽蝶蘭も岩千鳥も大輪で派手な品種が主流となるのは、園芸化されていく上では重要です。それでも原種の持つ個性を感じさせてくれる、らしさを無くさないで欲しいと思います。海外のラン好きの方から見て、日本の羽蝶蘭や岩千鳥はどんな評価なのでしょうね。
小さすぎて面白みがない花と思われていないと良いのですが。