令和6年のチドリ・2

サツマチドリ 黄覆輪

サツマチドリが満開時期になりました。イワチドリから始まる春のチドリ祭りも、最終段階に入ったなぁと感じます。最近は梅雨時期といっても暑い日が続くので、サツマチドリは最後の花を咲かせるまで至らず、つぼみがつぶれて終わってしまうものも多く見ます。

私が子供の頃にはそんな年は一度もなかったと思いますので、やっぱり全体的に気温が上昇しているのか? と思わずにはいられません。写真のサツマチドリは黄覆輪斑の入る安定した葉芸品種です。花は並花で大したものじゃないと思っていましたが、球根がしっかり出来るとかなり形の良い、きれいな花が咲いてくれました。

上作と呼べる出来になったかと思います。花数も多くてサツマチドリらしい良さを出すことが出来ました。

イワチドリ 鈴原X大魔神 DS

植出が遅くなってしまったイワチドリで、高温の影響で唇弁の先端が傷んでしまいました。本当なら一ヶ月前に咲き終わっているはずですから、冷涼な気候を好むイワチドリには厳しい環境です。ドリームシードさんの交配種で鈴原系と大魔神系の交配品です。両者の特徴が出ているかな?

ベタ染めになると迫力が増しますが、わたしはこのくらいの少し縁が白く残るくらいのバランスが好みです。ここからセルフで実生すると、水玉模様の個体や中央にベタが濃く出るものなどが現れるかもしれません。

ウチョウラン 円弁模様花

最後におまけで頂いた実生のウチョウランです。円弁で大ぶりな模様が入っている可愛らしい花で気に入っています。ウチョウランとはいいますが、いわゆる羽蝶蘭の部類の、クロカミランやサツマチドリ、アワチドリなどのいろいろな原種の血が入っている交配種と思われます。

厳密には羽蝶蘭と呼ぶべきでしょうが、距の長さも長めだしウチョウランの実生系でもいいかなーと適当に受け止めています。最近の分類では、ウチョウラン類もイワチドリの仲間も Amitostigma にまとめられたり、Hemipilia(ニイタカヒトツバラン属)にまとめられたり、最近は分類が右往左往していてよく分かりません。とはいえ、APG分類大系が普及したおかげで、ヒナランがミヤマモジズリの親戚だと分かったり面白くもなりました。

蘭の仲間だけは昔から属間交配なんてものが当たり前に思われていましたが、APGだと別属じゃなくて同属だよね、という事が分かってきて一つにまとまったりで、ようやく見た目と遺伝子の関係がスッキリしてきた感じもあります。いやはや面白い植物です。

Posted by Bsaku