サツマチドリ斑紋花

サツマチドリはウチョウランの変種で、鹿児島県の甑島にだけ産する固有種です。遅咲きで暑さに強いことや、細かい斑紋が条紋になるものが多いことから、ウチョウランブームの初期から人気がありました。写真の花は当時も人気のあった、「珊瑚礁」という品種に似た個体です。

サツマチドリは白地にぼかし覆輪で縁を染める花が多いのですが、斑紋花の場合は全体が白地のことがほとんどです。模様の遺伝子に関係があるのでしょうか。

羽蝶蘭・黄金葉白紫点連舌

前につぼみが付き始めの頃に、葉色を紹介した黄金葉なのですが、並花だと思っていたのが白紫点連舌というなかなか濃い組み合わせの花になりました。黄色もよく冴えてきれいに出ていますし、いじけたところのないすなおな成長をしている点もよいと思います。

紫点の入り方に特徴があるのと、舌が丸くなっているのがウサギを思わせて可愛いです。思わず「アンゴラ?」と思ってしまいました。イワチドリにもありますが、白地で丸い花はウサギっぽい感じがします。隣にカラス葉のウチョウランが置いてあるので、両方咲いたら一緒に撮影して比べてみたいです。

羽蝶蘭・紅一点Y723

今年もウチョウランが咲く季節になりました。典型的な紅一点花の Y723 です。ふくよかな中裂片にわずかな縁取りを残して濃い紅色に染まります。昭和の終わり頃のブームであれば、かなり人気になった花ではないかと思いますが、今はありふれた花の一つになりました。

好みの花を育てて咲かせるのが好きな人には、とてもいい時代になったんじゃないかと思います。今更ながらの自然種、野生から選抜された古い品種も見直されているので、オーソドックスなウチョウランもこだわりの花を育てて楽しみたいと思います。わたしはこのタイプがかなり好きなので、この花はお気に入りです。

クロシオチドリ・白地斑紋花

クロシオチドリはウチョウランの地域変異に分類される、長崎県平戸島産のウチョウランです。分類上はクロカミランやサツマチドリのように変種として扱われていませんが、趣味家は早咲きであることや、草姿の割に大型の花が咲くことから区別していました。

小豆島ウチョウランのように背が低く咲くものが多いのですが、この個体は並のウチョウランくらいに背が伸びて、大型の花を咲かせます。濃色花の多いクロシオチドリには珍しい、淡色系の佳品ではないかと思います。このようなはなが自然に咲いているというのは驚きですね。

クロカミラン・準無点

喉元にだけ細かい斑点がある、無点舌のクロカミランです。ありそうで意外と無いタイプかなと思います。わたしが育てているクロカミランは、どれも産地の地元、有田町の保存会の方から譲って頂いたものです。自然種は固体別に番号を付けて管理されていて、野生品は絶滅してしまいましたが、保存会など有志の方による植え戻しが行われています。

ウチョウランより一回り小さい、なで肩の花を咲かせます。保存会の分類番号は3141番です。